テキレボEX2の発送期間が3月21日まで延長になっています!
じっくり本を選ぶ時間が増えたので、せっかくなのでテキレボで購入できる本でおすすめ作品を紹介していきます。
普段、こうした紹介や感想を書くのは苦手であまり書けないのですが、せっかくの機会なので私もイベントや作者さんの応援ができたらなあと思って書いてみました。
自分の好みのせいか、ファンタジー多めです。
【ハイファンタジー】【恋愛】最果て食堂(1)~(3) / 酔庫堂様
人を食べない人外「あるお方」と、食べられたい生贄の女性の物語です。
人間を食べ飽きたその方に、女性が料理をふるまっていきますが……。
「食べること」を通して生と死に触れる物語です。物語の着地点と、二人が選んだ生き方は必見です。3巻で完結ですが、一気に読むのがおすすめです。
あと、ご飯がとても美味しそうなので、夜寝る前に読むと後悔します。
【現代】【エンタメ】【恋愛】寄せ植え vol.1~3 / コハク燈様
花言葉をテーマに、綺麗な水彩イラストと、短編小説が詰まった作品です。
何気ない日常やちょっとふしぎな出来事の中で、誰かが感じたことがあるだろう感情が読みやすい文章で描かれています。ささやかな幸せからちょっとちくりとくるお話まで楽しむことができます。
個人的なお気に入りはvol.3です。今回新刊としてvol.4が出ます。春から夏、秋ときて、今回は冬がテーマだそうで、とても楽しみです。
【ハイファンタジー】【ライトノベル】草刈忍者 ONE Week / ひとひら、さらり様
見習い忍者の子供たちと本物の忍者が戦う児童書風のファンタジー作品です。
主役の子供たちは5人いるのですが、子供だからこその未熟さとひたむきさ、諦めずにがんばる強さがあり、それでピンチになったりもするのですが、それぞれの子たちが長所を活かしてがんばるシーンは読んでいて応援したくなります。
そしてその子たちが自分らしい戦い方で本物の忍者と渡り合うシーンはとても痛快です。次々に物語が展開していくので、飽きずにどんどん読めてしまいます。
【エッセイ・随筆】青と茜と砂漠の国 / 呼吸書房様
作者さんが実際にモロッコを旅したときのお話をまとめた作品です。
体験した出来事が綴られていますが、旅行記とも小説とも一味違う不思議な読後感に包まれます。
現地に行くまでに抱いていた砂漠への幻想、実際に訪れることで崩れる幻想、実際目にした砂漠の実像の鮮やかさが文になっているシーンが特に好きです。作者さんが感じられた町や砂漠の文章と写真がとても綺麗な本です。
【恋愛】ノルニルの館【ローファンタジー】 / PRIMAVERA LABEL様
現代と大正時代が時間と運命のいたずらで交わり、静と詩子が少しずつ心を通わせていくお話ですが、時代や周囲に翻弄される女性の物語でもあります。
誰かへの想いを貫くというのは、生き方を選択するということそのもので、何かを捨てるということ。自分の生き方を貫く女性と、その想いを受けて彼女たちを見守る男性、どちらも素敵だなと思いました。
雨の中でしっとり香る金木犀やレトロなお屋敷の描写は、ノスタルジックな雰囲気にじっくりと浸れます。
【ローファンタジー】【恋愛】【ライトノベル】Summer sings for Something four / からん舎様
異類婚姻譚がテーマと知って読みたいと思った一冊です。
大正、昭和、平成と3話とも時代が違うので、襖に隔てられた異界との境界を越える話や、共生してきた世界と別れる話など、各話で違った雰囲気の異類婚を楽しむことができます。
日本の異類婚姻譚は破局するのが普通ですが、現実を生きる少年少女たちが、幸福を掴むために力強く前へ進んでいく姿は昔話とは違っていて、伝承とは違って幸せになっていくんだろうなと思わせてくれる終わり方がとても素敵です。
【ローファンタジー】摘み草の薗 / a piacere様
人々が守り継いできた自然深い「巳ノ淵」に棲む神さまと、人の交流を描いた現代ファンタジーです。
山と川の匂いに満ちた自然の描写が読んでいて清々しくなります。
自然との共生の仕方や畏敬の念が、日本らしさを感じられます。ちょっと浮世離れした神さま・茅さまと、天ヶ瀬家の人々とのあたたかい触れ合いが多角的な視点から描かれ、巳ノ淵という地と神さまを見つめる構成になっています。
伝承が緩やかに変化したように、いつかはその土地との付き合い方も、茅さまの永遠も変わるのかもしれない。孤独な神さまの今の状態は「呪い」か「祝い」か、外れた輪の中へいつか戻ってほしいと願わずにはいられません。
キダサユリさんの表紙・挿絵のイラストもとても素敵です。
【手製本】【ハイファンタジー】嘘の町を出ていく / おとといあさって様
一生分の嘘を吐いたペトレと時計塔のからくり人形シアーシャが出会う、「嘘」をテーマにした絵本のようなお話です。
嘘で人を騙したり、逆に誰かの心を守ろうとしていたり。
嘘そのものは虚構なのに、嘘で守ったり動いたり傷ついたりする心は本物です。嘘で揺れる心のやさしさやかなしさが織り交ざったお話になっています。
本当の現実を見つめるより、幸せな嘘の世界を見ている方が人は楽しかったりする。物語というものはそうした側面を持っていて、嘘の都ペテンブルクにも、ある嘘がある。タイトルにある「嘘の町を出ていく」がどんな意味を持っているのか、是非お手に取って読んでみてほしいです。
【児童文学】【ハイファンタジー】【ミステリ】闇夜色の書 / mille-feuille様
全体的にシックな雰囲気に彩られた物語です。
図書館で見つけた不思議な本によって、星子はマダムポレールのコルセット店の「候補生」になります。元の場所へ帰れるのか、他の候補生の少女たちやポレールの秘密は何なのか。
読むごとに不穏な空気が濃くなっていって、物語がどうなっていくのか気になって一気に読めてしまいます。大人でも楽しめる児童書のような作品。黒を基調にした装丁はもちろん、章の始まりに載っているイラストのカットも素敵です。
【SF】ペルセウスの旅人 / エウロパの海様
全体的に、夜のような静謐な雰囲気に満ちた旅人のお話です。
旅をする人、旅を終えた人、留まる人、言葉を託す人など……、旅先で出会う人々との会話から、それぞれに生きてきた旅路が窺えるのがとても魅力的です。
主役である二人の旅人が、出会いそうで出会わないところはまるで離れた星同士のようで、それぞれの旅は終わらないのだと予感させる終わり方がとても素敵でした。
【会誌・合同誌】【ハイファンタジー】【ライトノベル】【恋愛】【児童文学】【童話】
空想のまちアンソロジー「ぼくたちのみたそらはきっとつながっている」 / 象印社様
初めて買ったアンソロジー。
町同士が鎖され、独特な世界観を持つ空想の町での物語が詰まっています。
音町、蛍町、本町、砂町など、名前の通りの特徴的な町がたくさん登場しますが、町ごとに伝統があり、職人さんの誇りが描かれていたり、人生に悩む人の姿が描かれていたり、町の問題で悲しみが描かれていたりと、それぞれの風土で活き活きと暮らしている人の姿が作者さんごとに描かれています。
最後の「世界地図」で、町同士が孤立して世界の全体像がわからない世界観の中で、一瞬だけ世界が広がる描写は鳥肌ものです。
2年以上前に読んだ作品もあり、今回この紹介記事を書くにあたってざっくり再読してきました。
改めて、素敵な作品に出会えて本当によかったなと思います。
イベント、そして作者さんへの応援に少しでもなれば幸いです。
↓トナカイの森の本も見ていただけたら嬉しいです。