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2022.05-07 「それでも僕らは罪人のまま」ウェブ連載のお知らせとあとがき

  • 執筆者の写真: 葛野鹿乃子
    葛野鹿乃子
  • 2022年5月20日
  • 読了時間: 8分

更新日:1月16日

1.初めてのウェブ連載です


 5月から「それでも僕らは罪人のまま」という長編小説をカクヨムでウェブ連載します。

 本当はウェブサイトの方で連載していきたかったのですが、カクヨムの方がプラットフォームが決まっていて、アップや編集が楽そうだったので、カクヨムで連載することにしました。


 ※2022年9月に同人誌として刊行予定の小説を、事前に全本文をウェブ連載します。

 ※暴力、流血表現、未成年の犯罪描写などあります。苦手な方はお気をつけください。



≫あらすじ


 イギリスの産業革命期をモデルにしつつ、ファンタジー要素多めの架空の町が舞台です。

 主要人物はみんな16歳以下の5人の少年少女。それぞれに事情があって犯罪者として追われ、手を汚し続けながらも彼らが言う「悪い大人」と戦います。

 戦いの日々を通して、彼らは次第に自分たちの本当の願いや、彼らが望む本当の自由について考えるようになります。



≫連載前の裏話


 第1話から人を選びそうな作品だなあと書いていて思いました。

 どう言いつくろっても、例え裁かれる側も犯罪者だとしても、やっぱり主人公たちがやっているのは人殺しなので、そこをどういうふうに受け取られるか、ウェブ連載すると決めてからずっと不安でした。

 これ受け入れられるのかな、今までの作品と雰囲気違いすぎないかな、と考えていました。

 けれどもう完成させてしまっていて、ここから180度話が変わることはないし、書きたかったもの書けたからもうOKにしちゃおという気持ち(もうどうにでもなれの精神)でアップしました。


 このタイトルは、最初と、中盤と、最後とで後味の違った意味合いになってくると思うので、それも踏まえて最後まで読んでいただけると嬉しいです。秋頃のイベントで刊行予定なので、本で読みたい方は、しばしお待ちいただければと思います。


>>>作品はこちらから読めます。




2.ウェブ連載作品、完結


 7月はウェブ小説「それでも僕らは罪人のまま」が全33話で完結しました。

 一回はカクヨムでウェブ小説を連載してみたいなと思っていたので、早めに仕上げられたこの作品を連載することにしました。


 改めまして、5月15日から初めて連載終了まで7月13日まで、長い間ありがとうございました。

 最初は最後までやりきれるが不安でしたが、定期的に読んでくださっている方や応援してくださった方の存在を支えにやりきることができました。

 ウェブ媒体はいつでも読める分、興味を持ってくれた人が自分の時間を使ってくれるものなので、PV数の増加は精神的な支えになりました。本当にありがとうございます。


 ツイッターでは更新お知らせbotと化して、うるさくないかなあとちょっと心配だったのですが、もしかしたらツイッターの方から見てくれている方もいるかもと思い、最後までツイッターでお知らせしました。更新ツイートの数が多いので、少し経ったら重要な更新ツイート以外は消す予定です。




3.あとがき(刊行物にも収録します)


 今回の物語は、私が大学生の頃に書いた「ルペシュール」という長編を、今の自分なりに書き直した作品です。

 子供や弱者が酷い目に遭う、汚い大人か犯罪者しか出てこないし、子供が手を汚すシーンあり、流血・暴力ありきで、とにかく普段とは正反対のことをやろうと思いました。


 イギリスの産業革命期のような町が舞台ですが、舞台は参考程度に留めていて、わりと好き勝手に書いています。実際の産業革命期とは違うところもあると思いますが、そこは、魔法や聖剣が存在するファンタジーということで、気にしないでいただけるとありがたいです。


 今回は「大人と子供、犯罪、自由と束縛、正義と悪、強さと弱さ」などをテーマとして盛り込んでいます。立場も力も心も弱く、犯罪に手を染めてしまった子供。そこにしか拠りどころがなく、そこでしか自分自身になれなかった子供たちが主人公です。ただ、犯罪は絶対ダメです。本作には犯罪を賛美するような意図は一切ありません。

 取り返しのつかない罪を犯している子供もいて、しかも最終話では彼らの過去の罪は裁かれずに生きることになっています。この結末が許せない人がいるのかもしれませんが、彼らは裁かれないからこそ、自分の犯した罪と罪悪感とずっと一緒に生きるのだと思います。


 元々はメンバーが七人だったのですが、一本の長編を本としてまとめる際に色々削らないといけなかったので、役割が被っていたアサシンと騎士を削って五人になりました。

 この五人と、プラスでロビンの話を書くのがとても楽しかったので、外伝という形でまた別の話を書いても面白そうだなと考えています。

 終章の途中で、「列車の旅中に急行列車殺人事件が起こり、今度はルペシュールとロビンが共闘」みたいなのも面白そうです。列車で起こる事件はロマンの塊ですね。


 書いているうちに、メインの六人にものすごく愛着が湧きました。メンバーたちのやり取り含め、セリフを書くのがものすごく楽しかったです。

 今回はウェブ連載に挑戦してみようという取り決めもあったので、ほぼすべての話を五千字以下にして、話数を多くしています。今後長編のウェブ連載をやる予定は今のところないので、この形態で長編を書くことは多分ないと思います。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




4.裏話(刊行物収録予定なし)


 せっかくのあとがきに続いて、ちょっとした登場人物の裏話も一緒に掲載します。


≫ルイ


 一番年少なのに一番大人への憎悪が激しい主人公。

 彼には仲間にさえも話せない、最も重い殺人の罪をずっと引きずっています。

 鎖で繋がれた奴隷生活、窓の向こうの幸せな家族、ナイフと罪の象徴、出られない路地裏の世界など、この作品を構成するあらゆる要素を象徴する人物でもあります。


 一番年少でスリ・潜入技術しかないためルペシュールの悪人殺し活動もほぼ参加していないのですが、だからこそ年上メンバーのやってきたことやみんなの悩みを客観的な視点として見つめていた唯一の人物ではあるのかなと思います。



≫アシル


 命の大切さがわからない殺し屋。序盤でヤバい人感を出していますが、本来は明るく仲間思いの性格。何かあったときも大体矢面に立って戦いますが、彼専有の情報収集能力を発揮しているシーンの方が多くなりました。


 殺すことが仕事で作業だった少年が、殺すことで何を奪っていたのか気づき、変わろうとします。基本武器はナイフ。用途に合わせて銃も扱いますが作中では隠密行動が多いためにナイフでの戦闘が圧倒的に多いです。



≫サフィア


 親を殺されたかわりに生かされたことで命の尊さを知っているのに、憎悪に駆られて「あたしも殺してやる」と言うシーンが実はお気に入り。

 序盤でルイに差別はよくないと言っておきながら、迫害し、魔法使いを絶やそうとする人間に対して深い憎悪と差別感情を持っています。別作品に登場する魔女、ヘルミーネや絢人より、隠れていた感情が剥き出しになる分生々しい人物になったと思います。



≫レブラス


 真面目で正義感が強く、他者への気遣いを欠かさないメンバーの良心。

 でも、レブラスは過去でも作中でもけっこう人を殺しています。

 人の尊厳を踏みにじって利益を貪る悪人を誅し、弱者や善良な人間を守るべきだと彼は考えていて、そのためなら手を汚すことを厭わない人間です。そういう正義のためなら迷わず剣を振るう、常に厳しさと優しさの両面を持っているのだと思います。



≫ミシェル


 自分に自信がないからこそ自分は誰よりも強い人間だと思いたかった少年。

 ずっと凝り固まった自尊心を抱えていた人が、「自分は思っていたより大したことのない人間だった」と言うことで自分を見つめ直すことになります。

 プロット段階ではその性格のために他者に対してもっと嗜虐的で冷酷で、自分の持っている力を誇示しなければ気が済まない面がありましたが、不器用で神経質そうなわりと普通の少年に落ち着きました。


 魔法や頭脳抜きで冷静で客観的な視点を持つ年長者なので、一度バラバラになったメンバーを集めるのはミシェルしかいない、と思い書いた再起シーンはお気に入りです。レブラスとの友情も書いて楽しかったです。



≫ロビン


 大人っぽくて冷静な特別捜査官として振る舞わないと大人と渡り合えない大人っぽさ。そして正義感が強くて青くささが抜けていない子供っぽさ。どちらも矛盾なく両立した面白いキャラクターになりました。


 ルイとの対話、腐敗した警察組織を見限る場面がどうしても書きたかったです。

 法を遵守すべき大人の警察官が力のないルイに暴力を振るい、奴隷売買に手を染めているのがわかるとき、冷静な〈黒猫〉がボロボロ崩れて年相応のロビンになっていくシーンは楽しくて仕方なかったです。


 最初はダークヒーローのルペシュールのライバルになる、正義側の人間として作りました。

 もうひとりの主人公です。




 ちょっと長くなってしまいましたが、あとがき&裏話でした。

 「それでも僕らは罪人のまま」は9月の文フリ大阪で刊行物として頒布します。

 時期が近づいたらお知らせしますので、そちらもチェックしていただけると嬉しいです。

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