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葛野鹿乃子

氷の花 編集後記


 これは同人活動を始めて最初の冬、お話の構想が降ってきて、あまり悩まずにすらすら書けた珍しい作品です。
 この作品より前に書いた二作品は、同人活動を始める前からネタ自体はあったので、「氷の花」は活動を始めてから真っ白な状態で作った初めての作品でもあるのです。お手製本を作ったのもこれが最初です。思い返すと、このお話には私の初めての経験がいっぱい詰まっていたのだと気づかされました。

 物語自体は短いのですが、ストーリーは今でもお気に入りですし、お話同士の横の繋がりなど、書いてみて面白かったことがいくつもあります。
 あと、ご感想をいただいたときに「最初と最後で母親と姉妹が対になっているんですね」と、書いているときは全然気づかなかったご指摘をいただき、物語の見方が多角的になったのも素敵な経験でした。

 実は書いていたとき、何故か書いている最中のデータが二回も消え、合計三回も最初から全部書き直す羽目になりました。こんなことがあっては困るとパソコンを買い換えてようやく三回目の書き直しで完成しました。年末年始のことです。
 よく三回も書き直す気力があったなと思います。
 もし長編だったら悲しくて筆を折り「この物語はもう書けません」とツイッターで報告していたと思います。そんな思い出が残るのがこの「氷の花」です。

 トレーシングペーパーの遊び紙に憧れ、思いのほかトレぺがカッターで切りにくく、もう二度とトレペをお手製本で使わないと決意したのもこの「氷の花」でした。この作品には色々な経験値が詰まっています。
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